戦争に反対したダンス
緑のテーブル2017
クルト・ヨースのダンス作品「緑のテーブル」(1932)は、戦争が再来する予兆の中で明快な反戦姿勢を示す芸術作品として発表され、高い評価を受けました。今日まで世界中のバレエ団が再演を重ねる、舞踊史上に燦然と輝く古典作品です。舞踊作品の継承は、一面においては振付の継承であり、それは記譜や振り移しという方法で行われます。「緑のテーブル」もその例外ではありません。特筆すべきは、どこで再演される場合もヨース自身が振付指導を行い、彼の死後は娘のアンナ・マルカートが必ず現場に赴いてその任に当たったということです。「緑のテーブル」が対峙した現実を直接知る眼が、作品の成立に必要と考えられたのです。しかし作品を見る生きた眼がなくなった時、どうなるのでしょう。そもそも舞踊作品は如何にして時を超え、継承されるのでしょうか。「緑のテーブル2017」は舞踊史の最重要作品を取り巻く課題を考え、新たな作品構築を試みるリサーチプロジェクトです。
日時 | 2017年3月29日(水) 17:00 / 19:30開演 |
---|---|
会場 | 神戸アートビレッジセンター KAVCシアター (神戸市兵庫区新開地5丁目3番14号) |
入場料 | 一般3,000円/学生2,500円 ※完売いたしました |
振付 | 岡登志子 |
---|---|
作品監修 | 大野慶人 |
出演 | 岡登志子 垣尾優 大前光市 大野慶人 アンサンブル・ゾネ |
音楽協力 | 田村ゆう子 |
舞台美術 | 廣中薫 |
※上演時間 約60分
※アフタートーク(17:00公演の終演後に開催します。19:30公演チケットをお持ちの方もご観覧可能)
「ダンス作品の継承と創造」 古後奈緒子
(大阪大学文学研究科アート・メディア論ダンス批評・舞踊史研究)
主催 | 大野一雄舞踏研究所 |
---|---|
共催 | ダンスアーカイヴ構想 |
助成 | 芸術文化振興基金 |
協力 | 神戸アートビレッジセンター(指定管理者:大阪ガスビジネスクリエイト株式会社)、 アンサンブル・ゾネ、有限会社かんた |
お問合せ・予約
大野一雄舞踏研究所事務局/有限会社かんた
公演ご予約は、氏名、連絡先、観覧日時をお書き添えの上、下記にメールをお送り下さい。お電話でのご予約も承ります。
TEL 03-3450-6507 090-6158-7618 /Email ticket@canta.co.jp
公式FB Dance Archive Project
■緑のテーブルについて
振付・演出 クルト・ヨース 「緑のテーブル」(1932)
緑のテーブルを囲んで怪しげな会話をする男たち。激しい言い争いの後、戦いの火ぶたが切られ、殺し合いが始まる。別れ、戦闘、難民、享楽、残されたものたち。様々なドラマが展開する中、骸骨の「死の舞踏」が踊られる。1932年にパリに設立された国際ダンスアーカイヴの振付コンクールに出品され、満場一致で最優秀作に選ばれた。当時のナチス台頭に対する強いメッセージ性をもち、「反戦バレエ」とも言われる。今日まで世界各地で再演され、現代舞踊の発展にも大きな影響を与えた古典的作品である。コンテンポラリーダンスの振付家ピナ・バウシュもフォルクヴァング芸術大学でクルト・ヨースに師事し、自らの舞踊団でも同作を上演している。また、ドイツ表現主義舞踊に傾倒した若き日の大野一雄にも大きな感動と激励を与えた。
■国際ダンスアーカイヴについて
1932年スエーデン人篤志家ロルフ・ドゥ・マレにより、国や時代を超えてダンス資料を収集することを目的に設立、パリを拠点に資料室、図書室、展示室を運営、また公演、コンクールなども企画した。同時に舞踊関連の様々のテーマを特集する刊行物Les Archives Internationales de la Danseを出版した。1932年にいくつかコンクールを主催し、その振付コンペには、フランス、ドイツ、アメリカ、ロシア、オーストリア、ポーランドなどから20作家が参加、最優秀賞にクルト・ヨース、二位に表現主義舞踊のロザリア・クラデク、三位にはバウハウスのオスカー・シュレンマー等が入選している。1952年まで活動を継続し、その後アーカイヴ資料はフランス国立図書館とスエーデンのダンスアーカイヴに引き継がれた。
■出演者プロフィール
岡登志子
神戸生まれ。ピナ・バウシュが学長を務めていたドイツNRW州立フォルクヴァンク芸術大学舞踊科卒業。芦屋に拠点を置き、コンテンポラリーダンスカンパニー、アンサンブルゾネを主宰する。年一回のペースで神戸で振付作品を発表し、名古屋、東京でも上演する。また、音楽家高瀬アキ等との即興公演も行っている。近作に、「迷い」(2014)「となりのシグナル」(2016)。「霧のようなまなざし」(2017) 2014年神戸長田文化賞受賞。
垣尾優
1997年よりダンサーとして活動をはじめる。アンサンブル・ゾネには2004から参加、数々の作品に出演している。また、2006年から2009年までcontact Gonzoで活動。ほかに、2011年から2012年 エルヴィ・シレン振付作「KITE」に出演。2014年、松本雄吉、ジュン・グェン=ハツシバ、垣尾優共同制作「sea water」上演。2015年砂連尾理振付作品「猿とモルターレ」に出演。2015年ノーラ・チッポムラ振付作品「祈り」等に参加。
大野慶人
1938年、大野一雄の次男として東京に生まれる。1959年、土方巽による舞踏の最初の作品「禁色」に出演。以後60年代の多くの土方作品に参加。1969年自身のソロ公演を機に舞台活動を退く。1985年大野一雄「死海」でカムバック。現在大野一雄舞踏研究所所長。世界各国で公演、ワークショップを行う。近作に「花と鳥」 (2013)、 レクチャー・パフォーマンス「それはこのようなことだった」(2016)
→チラシダウンロード |